昔のきゅうりと今のキュウリ

きゅうり

畑と庭で2種類のきゅうりを作っています。

きゅうりをぎゅっと握ってしまうと
とがったいぼいぼの先のとげが手にあたり、
白い粉を自ら出して表面を保護している
昔ながらのきゅうりの代表、黒サンゴ(写真左)。

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わたし

とげが刺さるみたいで
痛いよ~

表面がつるつるしていて白い粉なし、
見ためにつやがあり、
いぼがあまり目立たない、とげはあります
夏すずみ(写真右)。

2種類のきゅうりを作っているのは
味わいと用途が違うからです。

夏すずみの特徴

皮が硬く食感がパリッとしていて
さくっと食べられるきゅうり、夏すずみ。

サラダに使用すると歯触りがよく好評です。
さくさくじゅわっときゅうりのうまみが広がります。

苦みが弱く癖がありません。
ただ成長しすぎると皮がさらに硬くなり
極端に味も落ちてしまいます。

夏すずみは
なるべく小ぶりなうちに収穫して生食しています。

酢の物にすると硬い皮がどうも気になります。
皮を半分ほどピーラーでまだらにむいて使います。

夏すずみに代表されるつるつる表面のきゅうりは
盛りの時期が外れて、ハウスものになるとうま味にかけます。
特徴のないきゅうりになってしまいます。

つるつる表面のきゅうりが主流になったのは
次のような理由からなのです。

・白い粉がついていると見た目が良くない
・いぼいぼがあると間に水分がたまり鮮度が落ちやすい
・つるっとしたきゅうりは保存性が高い

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わたし

夏すずみは漬物には向かないの。
皮を少しむいて使います。

あまり癖がなく食べやすいのですが
漬物にすると硬い皮のせいで味が中までうまく浸透しません。

味の点からも漬物にするなら黒サンゴです。

黒サンゴの特徴

見た目は武骨ですが、味がしっかりあって個性的な黒サンゴ。
皮が柔らかでコリっとした食感です。
若者にはちょっと不評で、とげが気になるのだそうです。
味も苦みが気になるとかなんとか。

そういえば子どものころキュウリといえば
くせがある野菜、と思っていました。
今のきゅうりより強い青臭さと苦みが
子どもには不向きだったのでしょう。

夏真っ盛りになると
親戚から大量のきゅうりがやってきました。
母はきゅうりと大根を赤シソ漬けにして
よく食卓に出していました。

昔ですからきゅうりに
ドレッシングをかけてサラダで食べることはなく、
漬けものや酢の物あるいは
そのまま塩をつけてという食べ方でした。

時代とともにきゅうりの品種は変わり
より優しい味わいのものが好まれるようになりました。

苦みや野菜独特のえぐみなどの癖がない野菜が
日本では主に消費されています。

それでいいのかな、味覚が単調になり
味の奥行きがわからない人間になるのではと心配です。